6週間続いているフランスの黄色いベスト運動。
以前コチラの記事でも触れていますが、政府が新たな経済措置を発表するなどデモ隊の要求が一部通った形となりました。
しかしここにきて、黄色いベスト運動の経済的打撃が明らかになってきました。
部分失業に追い込まれた労働者:4万3千人
経済省によると、黄色いベスト運動の影響を受け、4万3千人以上の労働者が部分失業を余儀なくされているとのこと。
部分失業と言うのは、経済的理由により事業を縮小せざるを得なくなった企業が雇用者の労働時間を減らす、または一時的に休業させることを指します。
この人数、シェルブール市の人口に匹敵するそうで、その影響の大きさに驚きを隠せません。
販売・サービス業への打撃
デモ隊による道路封鎖の影響により、販売・サービス業は25%ほどの売り上げ減。
また、黄色いデモ運動が始まってから以来の毎週土曜日の売り上げが数千万ユーロ減、とする機関もあります。
特に小規模商業を営む企業にとっては売り上げが15%~50%減にまで達するとさえ言われています。
商業部門全体の損失が20億ユーロに上ると予想され、その中でもスーパーなどの大規模小売店の損失は7億ユーロに留まる、つまり小規模小売店が大きな打撃を受けたという報告も。
さらには、週末よりも平日に買い物をするようになる、巨大スーパーではなく最寄りのスーパーや小売店を利用するようになる、などフランス人たちの行動にも大きな変化を与えました。
出典:https://www.nielsen.com/fr/fr/insights/news/2018/5-weeks-review-of-yellow-vests.html?cid=socSprinklr-NielsenFrance
Nielsen社の分析によると、食品関係の消費は平日に移動する形となり、結果として昨年よりも+0.3%の売り上げになったのに対し、食品以外は売り上げが-7.3%の大幅減。
上記のグラフでもひと目でわかるように、土曜日の消費がガクンと下がっています。
特に売り上げが減った街
出典:https://www.nielsen.com/fr/fr/insights/news/2018/5-weeks-review-of-yellow-vests.html?cid=socSprinklr-NielsenFrance
サン・テティエンヌ、メス、アヴィニヨンが黄色いベスト運動での経済的打撃を大きく受けていますね。
5週間トータルではサン・テティエンヌは7%の売り上げ減、土曜日だけを見ると34%減とその打撃の大きさには驚愕させられるばかりです。
あれだけ大きなデモがあったパリではトータルで-2%、土曜日だけの売り上げを見ると-5%に。
地方都市の方が経済的打撃を大きく受けた印象です。
クリスマス商戦真っ只中での黄色いベスト運動で、特に地方の小規模小売店が大打撃を受けました。
部分失業に陥った人も多く経済的打撃は計り知れません。
増税反対、大統領辞任、雇用促進、富裕層への減税反対などさまざまな問題への対抗という形で始まった黄色いベスト運動。
今後、どのような動きを見せるのか、政府はこれらの経済的影響に対しどう対策を打って出るのか、これからもその動向から目が離せません。