みなさん不要になった本の処分はどうしていますか?
家族や友人が引き取ってくれたり、古本屋に売ったり…不要本の処理の仕方はさまざまですね。
古本屋以外にも、不要本は近隣の図書館などに寄付することも可能です。
しかし寄付するには移動も手間もかかり、結局は処分してしまうというケースも後を絶ちません。
そこで登場したのが不要本を交換し合うあるシステムです。
街中に突如現れたボワット・ア・リーヴルたち
街中や郊外でも時折目にするBoîte à livresボワット・ア・リーヴル。
日本でも近年注目を浴びている「リトル・フリー・ライブラリー」のことです。
使用されなくなった電話ボックスや本棚などを活用して、不要本が並べられており、欲しい人は持って帰るというシステム。
雨風をしのげるように扉がついたものが主流ですが、屋内に設置されている場合は普通の本棚がそのまま並べられています。
このブックボックスの仕組み、てっきり自治体主体で行われているプロジェクトかと思っていましたが、意外にも自主的に設置をする企業や個人もたくさんいるのだとか。
私の近隣地域では、いつも行くパン屋さんの一角に本棚が突如現れ、その人気はうなぎのぼりなのだとか。
とってもシンプルなその仕組みは?
ボワット・ア・リーヴルは公園や通り沿いや公共施設の近くなど、誰にでも行ける場所に設置されています。
そこに行き、もう読まなくなった本や手元に置いておけなくなった本を箱の中に置くだけ。
その箱の中に気になる本があったら手に取って持って帰れます。
本の物々交換のようなシステムですが、当然ボワット・ア・リーヴルを見張っている人がいるわけでもなく、並べておくのも煩雑に放置するのも利用者次第。
なんとなく「ぐちゃぐちゃにされそう」「火をつけてしまう人が出てくるのではないのだろうか」と心配していましたが、今のところ近隣のボワット・ア・リーヴルではそういった被害もないとのこと。
本を捨てなくなる、すれ違う人と本の話題で盛り上がる、本を交換し合うことで利用者は経済的負担も減る…
普段本を買うことがあまりない人も、この仕組みなら読まなくなった本と新たな本を交換することで読書への意欲を再び湧きあがらせることにもつながるそうです。
図書館にはないメリット
本を買わないなら図書館を利用するのと変わらないのでは?と感じた人もいたことでしょう。
図書館では豊富な種類から選ぶことができ、さまざまなジャンルの本も常にたくさん置いてありますよね。
目的の本がある人は図書館の方が当然便利でしょう。
しかし、次の本は何を読もうかなと思っている人にとっては広い空間を歩き回って数ある本の中から探すとなるとちょっと手間だと感じてしまうことも。
ボワット・ア・リーヴルならそれほど保管されている本の数もそれほど多くないので手に取りやすいというメリットがあります。
また「次はどんな本が置いてあるかな」と、ちょっとしたサプライズ気分を楽しめちゃうのです。
そのうえ自分の不要本を寄付しているので、少しでも人に役立てているという感覚も味わえるので、このボワット・ア・リーヴルを活用する人が増えてきています。
不要になった本を気軽に人の手に渡りやすい仕組みを作ることで、簡単に捨てなくなる人も出てきたのではないでしょうか。
本を無駄にせず、読みたい人の間で長く愛されていく…
これほど素敵なことはないと思うのです。
フランス国内でも人気を高めていっている理由がよくわかりますね。
ただ気になるのは、無人のボワット・ア・リーヴルにいつか悪さをする人が現れるのではないという点。
現在のように細々とかつ安全に、近隣の人々に愛されるブックボックスであってほしいと願うばかりです。