ノートルダム大聖堂・火災保険がない!?寄付の方法や集まった寄付金の金額は?

ノートルダム大聖堂・火災保険がない!?寄付の方法や集まった寄付金の金額は?

世界遺産で起きた大火災。

マクロン大統領が再建のための寄付を募り、既に億ユーロ単位での金額が集まっていることも話題になりました。

ですがここで気になることが一つ。

「火災保険って下りないの?」

ちょうどこのことについて、Le Point誌Le Figaro誌が取り上げていましたので解説します。

被害状況などについては以下の記事をご覧ください。

ノートルダム大聖堂火災・被害状況

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政教分離だが大聖堂は国有

そもそも、フランスは政教分離を取っていたはず。

それなのになぜキリスト教のシンボルである大聖堂の火災で国が動くのか?

そう思った方もいらっしゃることでしょう。

ノートルダム大聖堂の所有者は1789年よりフランス国となりました。政教分離の原則が承認されたのは1905年。

基本的には所有者である国が大聖堂の維持や修理などを受け持ちますが、司教たちが建物や家具などの管理、保存そして監視に当たるという役割分担があります。

そのため政教分離の原則はあるものの、大聖堂自体は国の所有物のため、当然今回のように火災が発生した場合はその修理等を行うのも国です。

ノートルダム大聖堂の火災保険ってどうなってるのか?

普通、建造物には保険がかけられている…と思いますよね。

我が家でも火災後のマクロン大統領の演説を聞きながら、「保険ってきかないのかな?」などと話をしていました。

結論から言うと、ノートルダム大聖堂のように国有の歴史的建造物にしていされている建物などは、国が保証をすることになっています。

もちろん、発火原因が修理に当たっていた企業だった場合は、その企業の保険が適用されることになりますが、十分な金額を確保することは難しいとみられています。

そこで、原因が特定されてもされなくても国の負担がかなり大きくなることから、早い段階で寄付の呼びかけが行われたと考えられます。

一部例外を除いて、国有の歴史的建造物は保険をかけるということはないそうです。そのためフランス国内には保険にかけられていないお城などがたくさんあるそう。

大聖堂に保存されていた文化財などで、財団や協会など国以外が所有者となっているものに関しては、それらの保険から修復費用が出されるとのこと。

現状では発火は事故だろうとの見方が強く、また発火場所は損傷が激しいため原因を特定するのは難しいのではないかともいわれています。

5年で再建を目指す

マクロン大統領のこの発表に驚愕した方も多かったはず。

これだけの火災、しかも世界遺産。

たった5年で再建出来るのか!?と思った人は多かったようで、歴史的建造物などの番組を数多く担当しているStéphane Bernは10~20年はかかるのでは、と予想。

Le Figaro誌では再建のカギとなる5つの数字を取り上げていますので見ていきましょう。

工事費用:10億ユーロ以上

少なくとも10億ユーロ以上の工事費用はかかるだろう、と建築家のJean-Michel Wilmotte。

しかしユネスコ側からは「被害金額などを確定するにはまだ早すぎる」との声が上がっています。

確かに、いくら予想とは言え、被害状況がはっきりしていない状態での予想はあまり意味がないかもしれませんね。

寄付金:10億ユーロ以上の寄付声明

既に巨額の寄付を声明しているのはこの方たち:

・投資会社ArtemisアルテミスのPinaultピノー家:1億ユーロ

・化粧品会社L’Oréal社を受け継いだBettencourtベタンクール家:2億ユーロ

・LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループとArnaultアルノー家:2億ユーロ

・ガスや石油を扱うTotalトタルグループ:1億ユーロ

・電気通信事業Bouyguesグループ:1千万ユーロ

・広告会社JCDecaux Holdingジー・セー・ドゥコー:2千万ユーロ

・投資会社Fimalacフィマラック:1千万ユーロ

・銀行Crédit Agricole Île-de-Franceクレディ・アグリコル・イル・ドゥ・フランス:500万ユーロ

・銀行Société généraleソシエテ・ジェネラル:1千万ユーロ

・銀行BPCEベーペーセーウー(Banque Populaireバンク・ポピュレールとCaisse d’Epargneケース・デパーニュのグループ):1千万ユーロ

・銀行Crédit Mutuelクレディ・ミュチュエル:金額発表なし

・銀行BNP Paribasベー・エヌ・ペー・パリバ:金額発表なし

・保険会社AXAアクサ:1千万ユーロ

・製薬会社Sanofiサノフィ:1千万ユーロ

・ロトなどの会社La Française des Jeuxラ・フランセーズ・デ・ジュ:イースターロトの売り上げから200万ユーロ

・IT企業CapGeminiキャップジェミニ:100万ユーロ

・建設会社Vinciヴァンシ:金額発表なし

・タイヤメーカーMichelinミシュラン:金額発表なし

・ガス会社Air Liquide:金額発表なし

・ゲーム制作会社Ubisoftユビソフト:50万ユーロ+パリが舞台のゲームAssassin’s Creed Unityアサシンクリードユニティを無料配布(2019年4月25日まで)

などなど…

このほかに地方自治体、海外の著名人など続々と寄付表明が届いています。

また、お金ではなく物で寄付をしようという動きもあります。

例えば保険会社のGroupamaグルーパマは1300本のオーク材の寄付を表明。

建築材料製造会社Saint-Gobainサン・ゴバンはその技術と材料を、特に壊れてしまったステンドグラスの修復のために提供するとのこと。

また皆さんご存知の航空会社Air Franceはノートルダム大聖堂修復に正式に参加する人には搭乗を無料にすると発表。

さらに、Château Mouton Rothschildのワインコフレのオークションの金額(元々ヴェルサイユ宮殿の修復に充てられるはずだった)をノートルダム大聖堂の修復費用にあてるとのこと。こちらは87万ユーロ以上。

再建にかかる年数:5~20年

マクロン大統領の「5年で再建を目指す」という宣言に対し、意見が分かれているようです。

被害状況がはっきりしない限り、再建にどのくらいの時間がかかるかもわからない、との声も。

木造の骨組み部分に必要なオーク:1300本

8世紀前、この木造の骨組みを作られた時には1300本のオーク材が使われたんだそう。

上記でも触れましたが、グルーパマが1300本のオーク材提供を表明していますね。

最低限必要な職人の数:450人

実は職人が不足する、と言う可能性もあるんだそうです。

特にフランス国内では石工職や大工などが不足するとみられています。

寄付の方法は?

もちろん個人での寄付も可能です。

公式に寄付を集めているサイトは以下の4つ。

フランス文化財センター(仏/英)

 

 

ノートルダム財団(フランス語のみ)

 

文化遺産財団(仏/英/独/西/伊)

 

フランス財団(仏/英)

寄付はフランスに限らずどこからでも可能です。

たまに寄付を呼び掛けるブログを見かけますが、飽くまで「寄付」ですので、ここで寄付を勧めたり呼び掛けたりといったことはしません。

したいと思った方だけすれば良いと私は思っています。

 

これからも各国著名人からの寄付表明があるでしょうし、こうして私が記事をまとめている間にも新たな寄付表明があることでしょう。

また時間を見つけて情報をまとめていきたいと思います。

参考:http://www.leparisien.fr/economie/il-n-y-a-pas-d-assurance-pour-notre-dame-16-04-2019-8054919.php

https://fr.wikipedia.org/wiki/Cath%C3%A9drale_Notre-Dame_de_Paris#Propri%C3%A9taire

https://www.lepoint.fr/culture/incendie-de-notre-dame-de-paris-7-questions-autour-des-assurances-17-04-2019-2308108_3.php

http://www.lefigaro.fr/conjoncture/reconstruction-de-notre-dame-de-paris-cinq-chiffres-qui-donnent-le-tournis-20190417