フランスの公的医療保険セキュリテ・ソシアルの仕組みと手続き

フランスの公的医療保険セキュリテ・ソシアルの仕組みと手続き

フランスに3か月以上滞在する場合、フランスの公的医療保険に加入する必要があります。
公的医療保険はL’assurance maladieラシュランス・マラディと呼ばれ、社会保障制度Sécurité Socialeセキュリテ・ソシアルの一つという位置づけ。
ですが実際には公的医療保険のことをセキュリテ・ソシアルやセキュと呼ぶことがほとんどです。
さてこの公的医療保険、上記の通り呼び名が色々あったり、公式サイトはAmeli.frだったり在仏日本人には少しわかりにくい点が多いですね。
そこで今回は

  • フランスの公的医療保険の仕組み
  • 公的医療保険に加入する条件
  • 加入するための必要書類
  • 便利なサイトAmeli.fr

について見ていきます。

セキュリテ・ソシアルとミュチュエル(任意保険)を合わせたフランスの医療保険制度については以下の記事で取り上げていますので、そちらもご覧ください。
  フランスの医療保険解説!セキュリテ・ソシアルとミュチュエル

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フランスの公的医療保険の仕組み

公的医療保険は3つに分類

フランスの公的医療保険は大きく以下のように分類されます。

  • 一般労働者向け(Le régime général):給与所得者や個人事業主、滞在許可を所持する人。
  • 農業従事者向け(Le régime agricole):農家や農業労働者が対象。
  • その他(Les régimes spéciaux):フランス国鉄SNCFや電気EDF、上下院議員、船員や鉱山労働者など

そのうちの一般労働者向けの公的医療保険がL’assurance maladieアシュランス・マラディと呼ばれます。

2つの部門に分かれるL’assurance maladie

L’assurance maladieはさらに2つの部門に分かれます。

  • 医療保険部門 (branche maladie)
  • 労働災害部門 (branche accidents du travail – maladie professionnelles)

病院にかかった時などに保険負担分の金額が払い戻されるのが医療保険部門。
実はそれ以外に、勤務時間中の怪我や病気など労働災害に関する手続きも行っています。
そのため、例えば公的機関で働いていたけれど転職して一般企業へ…となった場合などもL’assurance maladieでの手続きが必要となります。

セキュと言えばまず最初に思い浮かぶのが医療保険ですので、まさか労災までやっているとは…と驚く方もいるかもしれませんね。

フランスで公的医療保険に加入する条件はたった1つ

たった1つの条件、それは
全ての労働者、フランス在住者(継続して3か月以上)
これだけです。

未成年の場合はどちらか一方の親の扶養に入る形を取ります。
事情によっては16歳から個人として加入も可能とのこと。

フランス留学をしている学生は専用のサイトhttps://etudiant-etranger.ameli.frから登録が出来ます。

公的医療保険に加入するための必要書類

学生の場合

ネット上で登録してから提出する書類です。

  • パスポートのコピー
  • 滞在許可証のコピー
  • 現行年度の在学証明書
  • 保護者の同意書(16歳以下)
  • 銀行口座情報(保険料払い戻しが振り込みで行われるため)
  • 戸籍謄(抄)本※や家族手帳、婚姻証明書など

学生以外

  • 所定の申請書(こちらのページ下部にダウンロード可能なURLあり)
  • パスポートのコピー
  • 有効期限内の滞在許可証や長期滞在VISAのコピー
  • 戸籍謄(抄)本※
  • 3か月以上の居住証明(水道光熱費の領収書、家賃領収書など)
  • 給与明細や雇用契約書など(労働収入がある場合のみ)
  • 未成年の被扶養加入申請書(扶養に入れたい子どもがいる場合のみ)
  • 銀行口座情報

 

※戸籍謄(抄)本に関しては大使館発行の出生証明でOKとするケース、出生証明プラス戸籍謄(抄)本の法廷翻訳を必要とするケース、出生証明プラス戸籍謄(抄)本のアポスティーユ&法廷翻訳を必要とするケースなど申請する場所によって差があるようです。
そのため必要書類は必ず管轄施設へ確認しましょう。

L’assurance maladieの公式サイトには「証明書類は原則コピーを提出」とありますが、こちらも念のため確認をしましょう。
また、追加で書類提出を依頼されるケースも多々あるようです。

カルト・ヴィタルCarte Vitale

フランスの公的医療保険の保険証に当たるものがLa carte vitaleラ・カルト・ヴィタル。
ICチップ付きで診察の際や薬局などでも使用します。
上記手続きがスムーズに終われば郵送で登録した住所に届くシステム。

手続き開始からカード入手まで数か月かかった方も珍しくないようです。

セキュの便利な公式サイトAmeli.fr

アメリとは、フランスの公的医療保険の公式サイトです。
登録手続きに関する情報はもちろんのこと、さまざまな疾患の症状とその一般的な対応方法、予防接種についてなど健康に関する多岐にわたる情報が入手可能。
またアカウントを作成すれば受診した際の払い戻しの状況確認だけではなく、公的医療保険が発行する各種証明書などもオンラインでダウンロードができます。
スマホアプリもあるので外出先でのチェックも楽々です。

まとめ

フランスに長期滞在が決定したらすぐにでも準備を始めたい公的医療保険の手続き。
窓口で待たされたり手続き完了までに時間がかかったりと手間がかかりますが、生活していく上では必要不可欠です。
気長に、忍耐強く手続きを進めていきましょう。

また、Ameli.frなど便利な公式サイトがありますので、情報収集や普段の医療費払い戻しの確認にご活用ください。

 

参考URL:https://fr.wikipedia.org/wiki/Assurance_maladie_en_France
https://fr.wikipedia.org/wiki/Caisse_primaire_d%27assurance_maladie
https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/R3049
https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/F34308
https://www.service-public.fr/particuliers/glossaire/R52734

 

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