フランスに留学される方、駐在員として生活する方、移住する方…
避けて通れないのが保険関連の手続きですね。
日本とは異なる医療保険制度に戸惑う方も少なくないと思います。
そこで今回は
- フランスの医療保険制度の仕組み
- 実際にお医者さんにかかった時の流れ(一例)
をご紹介します。
フランスの医療保険制度の仕組み
フランスの医療保険制度、は『公的医療保険』と『任意保険』の二つに分類されます。
それぞれがどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。
公的医療保険 L’assurance maladie
フランスでは加入が必須となる公的医療保険。
一般にはSécuセキュ、つまり社会保障Sécurité Socialeセキュリテ・ソシアルの略であると認識されています。
ですが実際には公的医療保険L’assurance maladieラシュランス・マラディは社会保障Sécurité Socialeの一部。
出典:<a href="https://assurance-maladie.ameli.fr/qui-sommes-nous/organisation/securite-sociale/securite-sociale" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://assurance-maladie.ameli.fr/qui-sommes-nous/organisation/securite-sociale/securite-sociale</a>
上記の画像を見てもわかるように、Assurance maladieのロゴ上部にはSécurité Socialeの文字があり確かに混同されやすい。
日常生活で話す分には公的保険=Sécuセキュ、またはSécurité Socialeセキュリテ・ソシアルで違和感を持つ人も少ないでしょう。
ちなみにこの社会保障
- 一般労働者向けのLe régime général
- 農業労働者向けのLe régime agricole
- それ以外のLes régimes spéciaux(SNCFやRATP、EDFなど)
の3つに分類され、L’assurance maladieは一般労働者向けのLe régime généralの一部にあたります。
日本にも国民健康保険、健康保険や共済保険など様々な種類があるように、フランスの公的医療保険は上記3つに分類されます。
またこの公的医療保険に加入すると、Carte vitaleカルト・ヴィタルというICチップ付き保険証が後日郵送されてきます。
一般的にジェネラリストと呼ばれるかかりつけ医にかかった場合、個人が支払う医療費は3割負担です。
L’assurance maladieの公式サイトはAmeli.frです。
公的医療保険の仕組みや手続きに関しては以下の記事でまとめてありますのでご覧ください。
フランスの公的医療保険セキュリテ・ソシアルの仕組みと手続き方法
任意保険 La mutuelle
公的医療保険ではカバーされない自己負担分を補う役割があるのが任意保険のLa mutuelleラ・ミュチュエルです。
加入している任意保険の種類等によっては全額保険でカバーされることもあります。
ちなみにですが、La mutuelleの呼び名だけではなく、政府サイトなどでは
Couverture assurance santé クヴェルチュール・アシュランス・サンテ
L’assurance complémentaire santé ラシュランス・コンプレモンテール・サンテ
などとも呼ばれます。
任意、とありますが、一般企業やアソシエーションの場合、労働者に団体保険に加入できるようにする義務があります。
そのため会社の任意保険に入っているという人も多数。
しかも保険料の少なくとも50%は企業(またはアソシエーション)負担となるため労働者への負担軽減にもつながります。
企業に勤めていない場合は自ら保険会社などで任意保険の契約をする必要があります。
任意保険は1月1日から12月31日までの1年契約となり、毎年新たな任意保険証(紙のもの)が送られ来ます。
特に処方箋がある場合などは薬局で任意保険証の提示が必要となりますが、年初めに一度提示しておくと薬局のシステムでCarte vitaleの情報と連結してもらえるため同年は再提示不要。
年初めに薬局に行く場合は忘れず任意保険証を持って行かないと、一度自己負担したのち保険会社へ書類を提出し返金してもらうこととなります。
実際お医者さんにかかったときにはどういう流れになるのか?
フランスのかかりつけ医制度を理解しよう
まずはフランスのかかりつけ医制度を知っておく必要があるでしょう。
その名の通り、Généralisteジェネラリストと呼ばれる一般医(開業医が多い)の中から自分のかかりつけ医を見つけなければなりません。
というのも、公的医療保険L’assurance maladieに自分の一般医は誰であるかを記入する欄があるためです。
かかりつけ医を受診
かかりつけ医の診察を受けます。その際Carte vitaleの提示を求められるので忘れず持参しましょう。
一般医や専門医の多くはCarte vitaleを読み込む電子機器を持っているので、その場でカードを読み込みます。
薬が必要な場合には処方箋を書いてもらいます。
支払いはその場で全額
診察などの場合、保険証を提示しても、いったんその場で全額を支払うことが多々。
(妊娠中などの例外あり)
保険証を提示したのであれば特に必要な手続きはなく、L’assurance maladieから後日保険カバー分の金額が振り込まれます。
保険証を提示できなかった場合はFeuille de soinフイユ・ドゥ・ソワンと呼ばれる診療費の領収書に必要事項を記入し、管轄のL’assurance maladieへ提出する必要があります。
薬局に処方箋を持っていく
その後薬の処方がある場合は薬局へ。
こちらでも処方箋と保険証提示が求められ、任意保険証の提示がまだだった場合はそちらも提示が必要となります。
もしCarte vitaleを忘れた!任意保険証もない!という場合にはその場では全額負担。
薬局では提出用紙を印刷してくれるため、必要事項を記入の上管轄機関へ提出し、後日保険料分が振り込まれます。
まとめ
公的医療保険と任意保険で成り立つフランスの医療制度。
受診から払い戻しまでの流れも日本のそれとは異なり興味深いですね。
フランスの保険に関しては今後も掘り下げて記事を書いていきますので興味のある方はお付き合いください。
参考URL:https://assurance-maladie.ameli.fr/qui-sommes-nous/organisation/securite-sociale/securite-sociale
https://www.ameli.fr/espace-presse/fiches-et-breves/breves/detail-d-une-breve/2927.php
https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/F20314
https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/F20739
https://www.service-public.fr/professionnels-entreprises/vosdroits/F33754
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