フランスで職業訓練を受ける~Référent Digitalという職業~

フランスで職業訓練を受ける~Référent Digitalという職業~

フランスの職業安定所経由で受けている求職者向け職業訓練。

流れや受けた感想などについては触れてきましたが、どのような内容であるかに関してはサラッとしかお話してきませんでしたね。

そこで今日はいままで触れる機会のなかった、私が受けている職業訓練の内容についてご紹介します。

Advertisement

フランス人にも馴染みのない職『Référent Digital』

レフェラン・ディジタル。

まずはフランス語の定義を見てみましょう。

Le référent digital met en place les solutions numériques adaptées (site web, e-commerce, etc.) dans une entreprise et en assure la bonne utilisation par les collaborateurs.

「レフェラン・ディジタルは企業内で必要とされるデジタルソリューション(webサイト、イーコマースなど)を確立し、関係者がそれらを適切に使用できるようサポートする」

…非常にわかりにくいですね。

デジタルソリューションと言うとまた別の分野とも勘違いされやすいので訳すのにも困りました。

要約すると

1.企業の問題点や必要としていることを分析し

2.webサイトやイーコマース、SNS上でのコミュニケーションなど適した解決策を提案、提供する

ということです。

とはいえ専門学校ではなく職業訓練の一環、そのうえ9か月間という短い期間。

マーケティングやwebコミュニケーションの深いところまでは取り扱えないのが残念なところです。

比較的広く浅く、もっと詳しく知りたい人は独学か職業訓練後に別の専門学校などを探すという流れになります。

ちなみにフランスでもこの職は新しく、まだ職業としては登録されていません。(申請中なのだとか)

そのため人にも説明しにくい、認知度が低いために就活のハードルも上がる、というのが現状です。

3つのカテゴリーを中心に学習

主に以下3つのカテゴリーに分けてグループワーク等が行われています。

SNS

フランス語ではRéseaux Sociauxレゾー・ソシオー。

FacebookやInstagram、LinkedInなどのSNSを使ったコミュニケーション手法を実践しながら学習します。

基本的には訓練生がネットで調べて実践してオーディエンスの反応を見てまた改善点を探して…という流れ。

指導官もたまーにアドバイスはくれますが、基本的には自分たちで考えて調べて行動せよ、なスタンスです。

イベント企画

企業や商品の知名度向上のために行われることのあるイベント企画。

職業訓練では2回企画・実践をしました。

1回目は訓練生の家族や友人など近しい人たちを集めて職業訓練の内容等について紹介する、いわゆるテスト企画。

2回目は企業向けにレフェラン・ディジタルの職業について紹介するプロ向け企画。

私は前職でもちょっとしたイベント企画をしたことがあったので、やったことのない訓練生が中心になりテーマや内容決めなどが進められました。

WordPress

この職業訓練の要となるのが、Wordpress。

私自身はこのブログでも使っていますし、ふらんぽんの方でも使用中です。

そのためとっかかりはすんなりといきました。

ただブログではやってこなかったワイヤーフレーム作成やプロトタイピング、ローカル環境設定にイーコマースサイトなど学ぶことは盛りだくさん。

さわりの部分しかやらないのが非常に残念ですが、個人的には身に付けたい知識や技術ばかりなので夜な夜な自習しています。

3つの認定試験

この職業訓練には3つの認定試験があります。

OPQUAST

出典:<a href="https://www.opquast.com/20140916opquast-com-nouveau-site/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.opquast.com/20140916opquast-com-nouveau-site/</a>

オップクアスト、Open Quality Standardsの略で、日本で言うweb検定のようなものでしょうか。

(すみません、web検定自体の詳細を知らないので詳しくはお話できませんが…)

要は、webサイトを作る上で気を付けるべき点などを問うもの。

オンライン学習ののち試験を受けるのですが、わかりにくい言い回しを使ったひっかけ問題などもあって私は苦戦しています。

フランス人の訓練生たちも「わかりにくい!」と苦情を出しているくらいでしたが、ちゃんと知識がついていれば間違うことのない設問も多々。

Méthodes Agiles

メトード・アジル、日本語ではアジャイル開発という名で知られているようです。

従来のウォーターフォールモデル(要はピラミッド型、ヒエラルキー型組織の形態ですね)とは違い、皆が対等な立場で関わりあうという特徴があります。

ここでは詳しくは触れませんが、アジャイルとはソフトウェア開発等で用いられることの多い手法の一つ。

グループワークの際もこの手法を使うわけですが、いかんせん素人が手探りでやっているのでカオス状態。

認定試験の際にはスライドを使った口頭試問だそうですが、何とかなるのでしょうか…不安すぎます。

WordPress

職業訓練の一番最後に行われる認定試験。

イーコマースサイトをWordpressで作ることになるのですが、こちらもスライド&紙の資料を用いての口頭試問です。

サイトを作ること自体はとっても楽しく、まだ手付かずのイーコマースに関してもワクワクがとまりません。

やはり細部はまだ甘いのと、デザイン等学ぶことがたくさんあるので間に合うのかは疑問ですが、とても楽しく学習しています。

 

これから認知度を上げていかなければならないRéférent Digitalという職業。

私は専門学校等を探してもっと専門性を高めたいと感じているため、この職業として働くことはないのかもしれません。

それでもこの職業や訓練の内容など、少しでも興味を持ってくれている方の参考になれば幸いです。