【フランスコロナウイルス】5月11日以降のロックダウン解除の詳細

【フランスコロナウイルス】5月11日以降のロックダウン解除の詳細

ロックダウン解除が5月11日と間近に迫ったフランス。
5月7日(木)にEdouard PHILIPPEエドゥアール・フィリップ首相、Olivier Véranオリヴィエ・ヴェラン連帯・保健大臣が会見を開き詳細についてを説明しました。
そこで今日は皆さんが気になっている

  • ロックダウン解除の指標となる地図
  • 感染予防策
  • 移動制限
  • 公共交通機関
  • 労働や社会活動
  • 教育

に関する情報をまとめました。

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ロックダウン解除マップ

1週間ほど前の4月29日、Edouard PHILIPPEエドゥアール・フィリップ首相が国民議会で発表し議決されたロックダウン解除への流れ。
【フランスコロナウイルス】ロックダウン解除への流れの記事で詳しく取り上げていますが、その際特に注目を集めたのがロックダウン解除マップです。

全部で4種類のマップ

ロックダウン解除マップは全部で以下の4種類。

ウイルスの拡散率

フランスロックダウン解除地図

出典:<a href="https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf</a>

こちらの地図の基準は「コロナウイルスの疑いで救急外来に訪れる人の割合」です。
この割合が0~6%の場合は緑、6~10%の場合はオレンジ、10~100%の場合は赤に色分けされます。

ご覧の通り、イル・ド・フランス地域とヴァル・ドワーズ県、海外県マイヨットが赤。
会見中に首相が言及した通り、海外県マイヨットは感染者数は少ないものの増加中のためロックダウン解除を延期。
パリに関しては、感染者数は少しずつ減少傾向にあるが、予想されていたよりも減少しない。
そのためロックダウン解除はするが、より厳しい感染予防対策が必要であると発表されました。

病院の集中治療室の受け入れ許容人数の切迫度

フランスロックダウン解除マップ

出典:<a href="https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf</a>

コロナウイルス患者による集中治療室の病床利用率が基準となるコチラの地図。
0~60%が緑、60~80%がオレンジ、80%以上が赤です。

病床利用率だけを見ると、先ほどのウイルス拡散率に比べて多くの県が赤やオレンジに分類されますね。

ウイルス検査の要望への対応キャパシティ

フランスロックダウン解除マップ

出典:<a href="https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf</a>

こちらは5月11日以降、検査の要望があった場合にそれに対応できるかのキャパシティが指標です。
0-70%対応が可能な場合は赤、70%以上はオレンジ、100%の場合は緑と色分けされます。
現時点では検査が必要な場合、十分に対応できるとの判断のようです。

総合地図

フランスロックダウン解除マップ

出典:<a href="https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf</a>

そして最終的に、上記3つのマップを総合したものがこちらの地図。

この地図が最終的にロックダウン解除の基準となります。
会見でも言及された通り、フランスが二つに分断された形となりました。

レッドゾーンとグリーンゾーン、何が違うの?

ロックダウン解除後グリーンゾーンでのみOKとなるのは主に以下の2つ。

公園

5月18日以降に中学校1、2年生(日本では小学6年、中学1年にあたる)から学校再開

ロックダウン解除第二段階(6月2日以降)のカフェやレストラン、高校が再開可能に

詳しくはこちらのURL「Infographie déconfinement」に非常にわかりやすいリストが公開されています。

感染予防対策

マスク

  • 4月28日以降の地方自治体の一般向けマスク購入費は国が50%負担(国が定める参考価格を上限とする)
  • 使い捨てマスクの価格は最大で1枚0.95€(税込み)
  • 一般向けマスク(布マスク)価格推移を追跡することでマスクの不正な高騰を防ぐ

感染の疑い(症状)がある場合

  1. かかりつけ医や当直医にすぐ連絡をする(連絡が取れない場合は救急車15番へ電話)
  2. 電話で問診を受け、必要に応じて病院やラボ、ドライブスルーテスト、自宅(検査員が自宅訪問してくれる)などで検査を受ける(公的医療保険で100%カバーされる)
  3. 結果を待っている間は自宅隔離
  4. 陽性だった場合:医者は病中経過観察などの連絡を取り、アシュランス・マラディへも申告する。
    公的医療保険L’assurance maladieから罹患者に連絡をし、追跡調査が行われる(もし接触した人がいる場合には接触者として連絡を取るため)
    陰性だった場合:担当医と症状などに関して定期的に連絡を取る
  5. 自宅隔離終了は症状がなくなった後2日(平均では8日)
  6. もし呼吸困難や食事など症状悪化の場合は医者に連絡する、または救急車を呼ぶ

注)同居家族がいる場合の自宅隔離:

  • 一部屋に隔離し家族との接触を極力避ける
  • 定期的に換気や手洗いをする
  • 家族も触るものを極力触らない
  • 人が良く触る場所を定期的に消毒する(特にドアノブや携帯電話など)
  • 常にマスク着用
  • 家族以外の人の自宅訪問を極力避ける
  • 書類等不要で薬局でマスクを受け取れる(100%公的医療保険負担となる)

感染者と接触した場合

  1. 公的医療保険L’assurance maladieや地域圏保険庁ARS(Agence Régional de Santé)などから連絡が来る
  2. 自宅隔離、(陽性の場合と同じ)
  3. 1日2回検温
  4. テレワークが可能な場合は自宅で仕事、不可能な場合は病気休暇扱い
  5. 最終接触から7日後に検査
  6. 陰性の場合は医師の判断により隔離を少し緩くする可能性もあるが、一般的にさらに7日間隔離

医療機関受診

  • ワクチン接種や持病の治療など、必要な場合には医療機関を受診すべき
  • 治療や受診など遠隔で受けられる場合はそちらを推奨
  • テレビ電話などを使って遠隔で行われるオンライン診察La télémédecineは既に週100万回以上実施されている

移動制限

  • 外出許可証不要で直線距離100Kmまで移動可能(車移動の場合は小切手帳、身分証明書、自動車保険証など居住証明となるものが必要)
  • 直線距離100Km以上の移動は禁止(同県内の100Km以上の移動は可)
  • 仕事や家庭の事情でやむを得ない場合は専用の許可証(フランス政府サイトまたは内政省サイトでダウンロード可)携帯の上100Km以上の移動可能
  • 駅や空港、高速道路などで検問が行われ、違反した場合には135€の罰金
  • ヨーロッパを超えた移動は禁止。6月15日にEUで再度検討される
  • ヨーロッパ外からフランスに来た人は2週間の自宅待機または隔離
  • 越境労働者は移動可
  • 農業関連などの季節労働者に関しては条件付きで移動可

公共交通機関

  • 電車は予約必須、座席数に対し最大50%まで予約可
  • 11歳以上はマスク着用義務
  • イル・ド・フランス地域はラッシュ時の公共交通機関の利用は雇用者の証明書を所持している人に限定
    (他地域での適用の可能性あり)
  • マスク着用、予約なしでのTGV乗車、イル・ド・フランス地域のラッシュ時許可証なしでの公共交通機関利用の場合は135€の罰金
  • 自転車移動推奨するため一時的自転車走行レーン追加や修理費用を50%までとするなどの対応(詳細:Alvéole)

労働

社会活動

出来るようになったこと

  • 自宅から100Km以内の移動
  • 屋外での個人スポーツ
  • 公園などに行く(グリーンゾーンのみ)
  • メディアテック、図書館や小さな博物館
  • 礼拝所などに行く(セレモニーなどは少なくとも6月2日までは不可)
  • 葬儀は最大参列者数20人まで
  • 墓地への参拝
  • 集会などは最大10人まで

まだ出来ないこと、閉まっている施設

  • 屋内での個人、集団スポーツ
  • ビーチは少なくとも6月2日までは不可
  • 大きな博物館やモニュメント、映画館、劇場、コンサートホール、地区会館や多目的ホールはオープンせず
  • 5000人以上が集まる集会などは9月までは禁止
  • サッカーなどのスポーツ大会のキャンセル
  • 緊急事態を除く結婚式の延期
  • カフェやレストランの再開については5月末に発表
  • 強制はしないが、高齢者や持病のある方などは特にロックダウン期間中同様に感染予防策を取り、可能な限り外出と人との接触を避けるべきである。

学校

  • 保育園、幼稚園と小学校は5月11日より再開、通学させるかは保護者の判断
  • グリーンゾーンでは中学校は5月18日より1、2年生(日本では小学6年、中学1年にあたる)から再開
  • 高校は5月末に判断、再開は職業高校から6月頭ころになる
  • 保護者はホームスクーリングを選択することも可(CNEDフランス国立遠隔教育センターへの登録無料)
  • 1クラス最大人数15人まで(保育園は10人まで)
  • 予防策の徹底
  • アルコールジェル設置
  • 障がい者、医療従事者や教育機関従事者の子や子どもの世話が難しい場合、ドロップアウトの可能性がある子などが優先
  • 教育現場で働く人はマスク着用義務
  • 中・高校生は社会的距離確保が難しい場合はマスク着用義務
  • 保育園、幼稚園では子のマスク着用禁止
  • 小学校は子はマスク着用推奨せず(子が望む場合はマスク着用可だがきちんと着用することが条件)

買い物に関して

  • ほとんどの商店は5月11日以降オープン可
  • 店内に入れる人数が限定される
  • 1メートルの社会的距離確保
  • 社会的距離確保が難しい場合は労働者、客ともにマスク着用推奨
  • 店員は入店の条件にマスク着用必須とすることが出来る
  • 屋内外のマルシェは5月11日以降オープン可だが、予防策が徹底されていない場合には市や県庁の判断でオープン不可とすることも
  • 40 000㎡以上のショッピングセンターのオープン可否は県庁の判断に任せる

まとめ

ロックダウン解除に際し、仕事を再開されるという方や子どもを学校に行かせる予定だという方、持病の通院で他県に移動する方などもいらっしゃるかと思います。
移動制限の緩和に際し人と接触する機会が増える方も多く、いままで以上に徹底した感染予防策が大切になります。
公共交通機関でのマスク着用義務など新たなルールも追加になりましたので、自身が該当する可能性のある項目等をしっかりチェックしましょう。

長文となりましたが、ロックダウン解除の第一段階の流れについてご紹介しました。
少しでも誰かのお役に立てたらと思います。

 

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参考URL:https://www.gouvernement.fr/info-coronavirus/strategie-de-deconfinement
https://www.gouvernement.fr/sites/default/files/document/document/2020/05/conference_de_presse_sur_le_deconfinement.pdf